金融の基礎知識

経済活動はお金を媒介として成り立っており、その最低限の知識は必要。

SBI系の金融機関向けオープンAPI基盤でシステム障害

2023年10月24日、SBIホールディングスや日本IBMなどが出資するSBI FinTech Incubationで、自社が手がける金融機関向けのオープンAPI基盤でシステム障害が発生しました。

SBI FinTech Incubationは、同基盤で採用しているIBM製品の「IBM API Connect」をバージョンアップしたところ障害が発生したとしていますが、今はまだ原因調査中で、復旧のめどは未定となっており、日本IBMは「障害については認識しており、原因を調査中」となっています。

IBM API Connect

SBI FinTech Incubationによれば、同日午前3時30分ごろより、同基盤を利用するSBI新生銀行、愛媛銀行、北九州銀行、筑邦銀行、筑波銀行、東和銀行、宮崎銀行、もみじ銀行、山口銀行やその他の銀行で、機能の一部やサービスが利用できない状況になったり、FinTechサービスとの接続ができなかったりしているのだそうで、筑波銀行では、同行のスマートフォン向けアプリ「つくばアプリ」が起動できないほか、資産管理アプリなど各種サービスとの連携ができない状況なのだそうです。

筑波銀行はマネーフォワードや弥生、マネーツリー、freee、ミロク情報サービス、TKCなどのサービスと連携しており、同基盤を利用しているとみられる住信SBIネット銀行でも、仮想通貨や家計簿アプリ、貯金、資産運用などの外部サービスとの連携で一部不具合が発生しています。

日銀総裁交代

日本銀行の総裁が10年ぶりに交代。

デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日銀の政策連携-共同声明(アコード)が公表されてから、2023年1月には10年目を迎え、アベノミクス「三本の矢」のもと、2%の物価目標を掲げ、異次元の金融緩和政策を約10年にわたって推し進めた黒田総裁が4月8日に任期を終え、次期総裁の人事が本格化しています。

黒田総裁

黒田総裁のもとで約10年にわたり行われた金融政策(大規模金融緩和や2%の物価目標など)への評価について、100点満点で評価した場合、何点と評価するかというアンケートでは、平均65.8点となり、点数の分布を見ると、「80~89点」が22.2%で最も高く、以下、「70~79点」(18.1%)、「90点以上」(14.5%)、「60~69点」(13.4%)、「50~59点」(13.3%)となっています。

帝国データによると、大規模な金融緩和が事業環境や為替・株価などに相応の効果をもたらしたと政策スタート時を評価する一方、その後も方向転換することなく10年にわたり一貫して緩和政策を続けたことへは厳しい意見が多く、今後の望ましい金融政策の方向性に関しては「金融緩和の縮小」が39.6%と最も多く、次いで「現状維持」(36.4%)、「金融緩和の拡大」(17.6%)、「金融引き締め」(6.4%)となっています。

いずれにせよ、4月の総裁交代を機に、アベノミクスの総括をキッチリ行ってほしいところです。

金融庁、制度見直しへ議論開始

金融庁の企業会計審議会が13日に作業部会を開き、上場企業が情報開示の信頼性を確保するための管理体制を評価し、投資家に公表する「内部統制報告制度」の見直しの議論を始め、議論に参加した複数の委員が「気候変動対応などの非財務情報を評価の範囲に含めるべきだ」と述べ、今後、報告書の訂正時の対応などを含めて年内にも結論をまとめる方向です。


内部統制報告制度は、カネボウの粉飾決算や西武鉄道の有価証券報告書の虚偽記載をきっかけに2008年に導入され、エンロン事件で米国が02年に制定した企業改革法(SOX法)の日本版となり、上場企業は毎年、内部管理体制が機能しているかを評価する「内部統制報告書」を金融庁に提出しなければなりません。

作業部会では経営者による内部統制の評価範囲の見直しへの言及が相次ぎ、参加者からは「現在は定量的な評価に偏りすぎており、事業の特性など各企業のリスクに応じた基準が必要」「気候変動対応などの非財務情報も評価の対象に加えるべきだ」との意見が出て、経営者への罰則規定の明確化を求める声もあがっています。

今回の見直しは、現在の制度が形骸化しているとの指摘を踏まえたもので、不正の発覚などを受けて、当初は「有効である」としていた内部統制報告書を事後的に訂正したり、小規模な拠点や海外子会社で不正が起きたりする事例が相次いでいます。